雲の巣に帰る。
思う存分球体を一周した後、
するっと帰ってきては
見飽きたはずの空を見るのが私の習慣である。
誰かみたいに見上げるのでも誰かみたいに見下げるのでもなく
ただ空を見ている。
「あんなことして彼らは満足なのだろうか。」
下のほうから聞こえてきた事がある。
こじんまりとした畑を耕す、
長年蓄積されて出来た赤土色の肌の爺さんだった。
何周前に聞いた声だったか。
きっととても昔の出来事だろう。
当たり前のように雲の巣に帰ってきて、今頃思い出した爺さんの声が、
私をフワフワさせた。
「爺さんこそ、満足なのか。」
言い返したかった。
だけどいつまたあの爺さんに会えるか分からない。
「赤土色の爺さんを見かけたら私に知らせてくれないか。」
その晩私はフワフワしたまま友人にそう伝えた。
私たちが自由なんてものではないことを、
どうして彼には見透かされたのだろうか。
私たちは大抵憧れの存在ではなかったか。
私たちは自由の象徴的存在ではなかったか。
そう思われていることが、自由でない私たちの誇りだったのに。
2006年03月28日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/15596737
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/15596737
この記事へのトラックバック



